やまものアウトプット日記

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【経産省審議会】ガスのカーボンニュートラル化を実現する合成メタン導入拡大に向けた道筋

www.meti.go.jp

4/19に経産省資源エネ庁が事務局の第7回メタネーション推進官民協議会が開催されました。

 

協議会では事務局の資源エネ庁から合成メタンの普及拡大に向けた現在の取組状況や2050年のガスのカーボンニュートラル化を目指すための合成メタン導入拡大に向けた道筋が紹介されています。

 

合成メタンがガスのカーボンニュートラル化を目指すために注目浴びている理由は以下の通りです。

都市ガスの原料である天然ガスの主成分はメタンであるため、たとえ天然ガスを合成メタンに置き換えても、都市ガス導管やガス消費機器などの既存のインフラ・設備は引き続き活用できるのです。つまり、メタネーションは「経済効率(Economic Efficiency)」にすぐれており、コストを抑えてスムーズに脱炭素化を推進できると見込まれているのです。

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/methanation.html

 

合成メタン導入に向けた現在の取組状況

合成メタンは天然ガスの代替になるカーボンニュートラル燃料です。

合成メタンを製造するには、原料の二酸化炭素、水素およびその製造設備が必要です。

そこで2025年までに都市ガス導管への合成メタン注入を予定しています。

注入規模は、400m3/hでこれは1万世帯分に相当します。

 

また、合成メタンをどこで作るかという問題があります。これは水素に起因します。

水素を作るには水の電気分解の原理を逆に利用しますが、水素製造に必要な電気が再エネ電気でないと、カーボンニュートラルは実現しません。

再エネ電気は日本国内よりも海外のほうが安価な事情があり、海外の安価な水素をその場で合成メタンにして、それを海外から国内に輸入できないか調査が実施されています。

海外の主な調査地は北米、豪州、マレーシアです。

 

合成メタン導入拡大に向けた道筋

2050年に都市ガスの90%を合成メタンに置き換えることを前提とした合成メタン導入拡大に向けた道筋が示されています。

ちなみに上記の前提は日本ガス協会が2021年6月に制定した「カーボンニュートラルチャレンジ2050」アクションプランに基づいています。

2030年まで

  • 国内産合成メタンの供給開始
  • 合成メタンの海外サプライチェーンの整備
  • オンサイトメタネーション(都市ガスの需要場所で合成メタンを製造)の活用開始

2030~2050年まで

  • 天然ガスから合成メタンへの燃料転換が段階的に進展
  • 海外産合成メタンの輸入開始
  • メタネーション技術の進展により合成メタンのコスト低減

2050年時点

  • 都市ガス供給の90%が合成メタンに置き換え
  • 海外から輸入するLNG液化天然ガス)が合成メタンに置き換え
  • 需要場所で発生するCO2をリサイクルする活用方法が定着

合成メタンの供給規模

  • 2030年時点:3.6億m3/年(現在の都市ガス販売量の1%)
  • 2050年時点:326億m3/年(現在の都市ガス販売量の90%)

合成メタンの価格水準

  • 2030年時点:130~145円/m3
  • 2050年時点:50円/m3(※現在のLNG輸入価格と同等)

 

【経産省審議会】水素・アンモニアサプライチェーンの実装に向けた投資と需要喚起策の方向性

 

www.meti.go.jp

4/18に資源エネ庁事務局の総合資源エネルギー調査会 第2回 省エネルギー・新エネルギー分科会 資源・燃料分科会 アンモニア等脱炭素燃料政策小委員会 合同会議が行われました。

 

事務局の資源エネ庁から、水素・アンモニアサプライチェーン投資促進・需要拡大策が提示されています。

 

以下、事務局資料の要点をまとめてみました。

注)※印はやまもの追記です

┃水素・アンモニア需要の規模感

  • 国際エネルギー機関(IEA)のシナリオによると、アンモニア等を含む水素の需要は2030年には2020年の約2倍強の2億トン、2050年には同年約6倍弱の5億トンを見込む
  • 一方、供給は2020年ではほぼ化石燃料由来(化石燃料の水蒸気改質等で生成した水素)だが、2030年には化石燃料をCCUS(CO2の利用・貯蔵)したブルー水素、再エネ電気由来の電解水素(グリーン水素)が化石燃料とほぼ同量を占め、2050年にはブルー水素由来で2億トン、グリーン水素由来で3億トンを占める
  • 国内では水素・アンモニアの用途先として輸送(FCV、FCバス/トラック)、熱需要(バーナー)、火力発電等が挙げられ、技術開発・実証が進んでいるところ

┃水素・アンモニアの商用サプライチェーン構築

サプライチェーン構築に向け以下の論点が提示されました

  • 水素の供給コストは2020年で100円/m3(水素ST販売価格)、供給コストの低減が課題であり、2030年の目標コスト30円/m3、供給量300万トンを達成するためのサプライチェーン構築を目指すべきでは?
  • どの水素を対象に(国は)支援すべきか?海外水素をキャリア変換したメチルシクロヘキサン(MCH)やアンモニアも対象にすべきか?※再エネ適地で製造された海外水素は国内水素よりコスト優位性がある
  • 初期の水素等供給事業を考えると、水素の需要が少ない(=販売量が少ない)ことで初期投資・製造コストを回収できないリスクがあるため、長期契約等で販売価格・量を安定化させるような(国の)支援が必要では?
  • 供給コスト低減を事業者に促すためには、FIT制度の買取価格の決定に市場原理(入札制)を導入することや供給コストを目標値まで引き下げるまで補助金を導入すること等が考えられるが、ひとつの方策に限定しないほうがよいのでは?
  • グリーンイノベーション基金等、すでに支援する政策もあるので、水素等のバリューチェーンの全体像を踏まえ、もれなくダブりのない政策のすみわけが必要では?

水素等のバリューチェーンの全体像
【出所】経産省 第2回省エネルギー・新エネルギー分科会 資料1

 

┃効率的な水素・アンモニア供給インフラの整備

供給インフラを整備するにあたり、拠点形成、(国の)支援、主体者のありかたについて以下の論点が示されました。

拠点形成

  • 2050年の絵姿をバックキャスト(逆算)して考えると、海外水素等を受け入れるカーボンニュートラルポートに近接する形で大規模な需要(水素を利用する化学プラントや水素火力発電所)を戦略的、計画的に配置すべきでは?
  • 一方足元から考えるフォアキャストの視点では、潜在需要地として、①水素等の火力発電所、②コンビナート等の多産業集積地、③地域の再エネ生産地が考えられるので、それぞれの特性を活かした拠点化の課題を整理しては?

(国の)支援

  • 供給インフラといっても、受入・貯蔵→輸送→利用と様々あり、輸送だけ取ってもパイプラインとローリーの方法があるので、何を支援すれば最も水素等が普及するか?

主体者のありかた